「点描の唄」歌詞の意味とは?【Mrs GREEN APPLE ft. 井上苑子】
(出典: https://www.universal-music.co.jp/mrsgreenapple/products/upch-80493/)
映画『青夏 きみに恋した30日』の挿入歌としてこの物語に華を添えている Mrs. GREEN APPLE(以下: ミセス)の「点描の唄(feat.井上苑子)」(読み方: てんびょうのうた)。
ミセスと同じレーベルで同期という縁のある井上苑子(いのうえ・そのこ)さんをフューチャリングで迎えたこの一曲は、
ミセスボーカル・大森元貴さんと井上さんの声の掛け合いがとても美しく、
歌詞から感じ取れる男女の切ない恋に胸がキュンとなる素敵な曲となっています。
映画『青夏』のストーリーに寄り添って、特別な夏を彩っている「点描の唄」。
今回はこの曲の歌詞の意味を考察していきたいと思います。
また、後半には大森さんと井上さんのパートをそれぞれ色分けして紹介していますので、こちらもお楽しみください。
『点描の唄(feat.井上苑子)』の歌詞の意味とは?
『点描の唄(feat.井上苑子)』ー Mrs.GREEN APPLE
作詞: 大森元貴
作曲: 大森元貴貴方の声で解れてゆく
忘れたくないと心が云う
思い出ばっか増えてゆく
ずっと側に居たい泣き虫でもいいかな
強がらないでいいよ
限りある恋だとしても
出逢えて幸せですいつまでも
いつまでも
続いて欲しいと願っている
手を取ることは出来ずとも
私は貴方を好いている貴方の夢で心安らぐ
目覚めたくないと僕は云う
思い出ばっか増えてゆく
明日も側に居たいどこまでも
どこまでも
鈍感な僕を叱って欲しい
当たり前が壊れることに
気づけないくらいに子供だけど
ちゃんと僕は貴方を好いている私の僕の
時間が止まればいいのにほらまた期待をしてしまう
グッと堪えてみるからさ
もし溢れ出したら
瞳をちゃんと見てよ 見てよ 見て
貴方の影だけ伸びてゆく
消えてしまわないで
ずっと この思いは変わらないいつまでも
いつまでも
続いて欲しいと願っている
手を取ることは出来ずとも
過ぎていく現在(いま)に抱きしめられている私の僕の
時間が止まればいいのに今日を噛み締めていよう
終わるな
夏よ、終わるな
タイトルに出てくる「点描(てんびょう)」の意味って一体何?
(出典: http://salondeangeaile.blogspot.com/2013/11/blog-post.html)
曲のタイトルに出てくる「点描(てんびょう)」という言葉。
まずは、その意味について調べてみました。
【点描 ー てんびょう】
1. 人物や事物の特徴的な部分をとらえて、簡潔に描写すること。
2. 線を使わずに、点で描く画法。
コンピュータやデジタルカメラなどでは、ソフトの画像処理によって普通の画像を点描にすることができますので、実際に絵を見ると「これのことか。」となる方も多いと思います。
(出典: https://www.kankou-poster.com)
古くからあったとされるこの点描画法ですが、1点1点描くという一見手間がかかる作業ということで「効率的」ではないという見方もあるようです。
ただ、上の絵を見て分かるように独特の柔らかい雰囲気や、線ではなく点で描くからこそ伝わる優美なイメージなど、その奥深さゆえにあえて点描で描くことにこだわるアーティストさんや、その絵に魅力を感じるファンの方も多いのだそうです。
『点描の唄(feat.井上苑子)』の歌詞の意味を考察!
(出典: https://okmusic.jp/news/282373)
絵に描いたようような鮮やかな青春の1ページを感じさせてくれるミセスの『点描の唄』ですが、曲の物語をよく聴くと普通のラブストーリーとは違い、
「お互いに相手への好意を抱いているけれど、ずっと一緒にいられないこともどこかで理解している」
という切なさが滲み出ています。
作詞作曲を担当しているミセスのボーカル・大森さんは、
この曲についてのインタビューで下記のようにコメントしています。
Q. 切ない恋愛ソングですよね。片想いのような両想いのような微妙なところ。
◯大森さん回答
お互いに“私はあなたを好いている”と言ってるんですけど、口には出してないのかもしれない。“私があなたを好きということを分かってほしい”でもないし、“私はあなたを好いている”ということが自分にフッと落ちる、その感覚がお互いにある感じ。そこから何に発展してるわけでもないので、普通の恋愛ソングとは違うと思います。
“私はあなたを好いている”ということが自分にフッと落ちる、その感覚がお互いにある感じ。”
というコメントが非常に印象的です。
まず、『点描の唄』は葵わかなさんと佐野勇斗さんダブル主演の映画『青夏』のために書き下ろされた曲であることから、
この歌(唄)の登場人物は、葵さん演じる理緒と佐野さん演じる吟蔵であると考えるのが自然でしょう。
非常に簡単なあらすじが下にございますので、2人が置かれた状況を簡単に整理してみたいと思います。
◯『青夏』あらすじ
(出典: http://aonatsu.jp/about_the_movie/soukanzu/index.html)
夏休みの間、大自然に囲まれた祖母の家で過ごすことになった都会育ちの女子高生・船見理緒(葵わかなさん)は、そこで地元の高校生・吟蔵(佐野勇斗さん)と出会います。硬派で少し意地悪だけど実は優しい吟蔵。
運命を信じる理緒は恋に落ちてしまうのですが、吟蔵には幼なじみで婚約者の万里香(古畑星夏さん)がいました。
一度は断る吟蔵でしたが、理緒に好意を寄せる祐真(岐洲匠さん)の登場で吟蔵もあり、理緒に対する恋心を自覚していきます。
夏休みが終われば離れ離れになってしまう2人。わかっていても止められない想い。この恋のゆくえはいかに。。。
といった物語です。
上湖村という、いわゆる田舎育ちの吟蔵と都会っ子の理緒の間で生まれる恋の物語が描かれていることが分かりますよね。
そして、夏休みという時間の制限に加えて、田舎にはその地域特有のしきたりがあるというのも、
2人にとっては置かれている環境が全く違うと感じてしまう要因の一つになっているのでしょう。
ここで、大森元貴さんの、
「“私があなたを好きということを分かってほしい”でもないし、私はあなたを好いている”ということが自分にフッと落ちる、その感覚がお互いにある感じ。”」
というコメントに戻って考えてみます。
限りある恋だとしても
出逢えて幸せです
手を取ることは出来ずとも
私は貴方を好いている
当たり前が壊れることに
気づけないくらいに子供だけど
ちゃんと僕は貴方を好いている
曲中に出てくる「私」と「僕」はお互いに”手を取ることは出来ない” や、”当たり前が壊れることに気付けないくらいに子供”といったフレーズで、別れが来てしまうことを歌っているように感じます。
それでも相手のことを想っている「好いている」という自分の感情は確かなもの。
それを無理に伝えることよりも、
私の僕の
時間が止まればいいのに
今日を噛み締めていよう
終わるな
夏よ、終わるな
今、(一緒にいるいないは分かりませんが)相手のことを大切に想っている時間や、自分が相手に寄せている「好いている」という感情は大切に持っていたい。
そんな気持ちが、
この “時間が止まればいい” や、“夏よ、終わるな” という気持ちで表現されているのではないでしょうか。
それでは最後に、『点描の唄』というタイトルですが、注目すべきは『青夏 きみに恋した30日』の映画監督・古澤健さんの言葉です。
この映画は、8月公開を前提にスケジュールを構成し、「映画の中に青春の輝きを焼きつけたい」という想いのもと、
2018年の4月の撮影から急ピッチで仕上げられたそうです。
これは個人的な見解になってしまいますが、
大森さんは、この特別な一夏の「青春の輝きを焼き付ける」という想いに寄り添って、
点描で描かれた鮮やかな絵のように、温かくて優美な雰囲気をこの曲の情景にリンクさせたのではないかと想像しました。
『点描の唄(feat.井上苑子)』の歌詞をパート別で見てみよう!
『点描の唄(feat.井上苑子)』ー Mrs.GREEN APPLE
作詞: 大森元貴
作曲: 大森元貴
大森さんパート
井上苑子さんパート
2人(デュエット)貴方の声で解れてゆく
忘れたくないと心が云う
思い出ばっか増えてゆく
ずっと側に居たい泣き虫でもいいかな
強がらないでいいよ
限りある恋だとしても
出逢えて幸せですいつまでも
いつまでも
続いて欲しいと願っている
手を取ることは出来ずとも
私は貴方を好いている貴方の夢で心安らぐ
目覚めたくないと僕は云う
思い出ばっか増えてゆく
明日も側に居たいどこまでも
どこまでも
鈍感な僕を叱って欲しい
当たり前が壊れることに
気づけないくらいに子供だけど
ちゃんと僕は貴方を好いている私の僕の
時間が止まればいいのにほらまた期待をしてしまう
グッと堪えてみるからさ
もし溢れ出したら
瞳をちゃんと見てよ 見てよ 見て
貴方の影だけ伸びてゆく
消えてしまわないで
ずっと (ずっと) この思いは変わらないいつまでも
いつまでも
続いて欲しいと願っている
手を取ることは出来ずとも
過ぎていく現在(いま)に抱きしめられている私の僕の
時間が止まればいいのに今日を噛み締めていよう
終わるな
夏よ、終わるな
終わりに
いかがだったでしょうか。
今回は、映画『青夏 きみに恋した30日』の挿入歌で起用されているミセスの素敵な一曲、「点描の唄(feat.井上苑子)」を紹介してみました。
色々な恋の形がありますが、特別な一夏を描いたこの「点描の唄」には、
一生忘れることのできない大切な思い出の輝きの中に、
「時間が止まればいいのに」という、
お互いのことを好いているからこそ際立つ2人の関係の切なさが閉じ込められていて、
思わずそのストーリーに取り込まれてしまう魅力がありますよね。
甘酸っぱい夏の情景が 、聴く人の頭の中を駆け巡るようなこの「点描の唄(feat.井上苑子)」。
夏の思い出ソングとして、語り継がれる名曲となりそうですね。
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