「美しい棘」の歌詞の意味・解釈とは?【GLIM SPANKY】

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(出典: http://rocksforchile.com/2018/)

GLIM (かすかな光、灯火)を意味する言葉と、SPANKY (平手打ちのような攻撃的な様子)を合わせた造語がバンド名となっているGLIM SPANKY。

主な作詞作曲とボーカル・ギターを担当する松尾レミさんと、ギターの亀本寛貴さんからなる2人組ユニットです。

そのバンド名の通り、幻想的な意味を持つ「GLIM」の世界観を感じさせる音楽と、聴く人を一瞬で惹きつけるボーカル・松尾さんのSPANKYなハスキーボイスは世代を超えて多く音楽ファンに親しまれています。

今回はそんな二人が2017年4月に発売したアルバム、『I STAND ALONE』のリード曲となっている「美しい棘」について、その歌詞の意味や解釈を考えてみたいと思います。

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「美しい棘(いばら)」の歌詞の意味とは?

「美しい棘」ー GLIM SPANKY
作詞:松尾レミ
作曲:松尾レミ

十字架の見える窓で
風が遊ぶ度プリーツを揺らすよ
誰も邪魔をしないで
わたし今が全てだから
儚く綺麗な時(とき)
大人には解んないでしょう

棘に刺さりながら
少女は今
深い傷を増やして
喜びを知っていく
今までとなりに居た
あなたから手を離せば最後
もう知らぬ人

教室を抜け出して見上げた
空はどんな青よりも鮮やかで
何にも知らずに笑える
二人春の夢のようね
あなたと一緒だから
わたしも生きてゆける

季節を駆け抜けゆく
少女はただ
香る草の匂いも
忘れたくはなかった
いつかはこんな事を思い出す
時が来るのかなって
語りあっている

若さがいつか
消える事解ってる
言われなくとも
私たち馬鹿じゃない
だけど血を流しても
噛み締められないのは
ああ憎いもんだわ
本当知りたいだけなのに

痛みを隠しながら
少女は今
傷を治せる愛を
少しずつ知っていく

じゃあまた明日ねって言えること
それだけでほら全部 暖かいこと

棘に刺さりながら
少女は今
深い傷を増やして
喜びを知っていく
今までとなりに居た
あなたから手を離せば最後
そう魔法の様で
ふと気付けば最後
もう知らぬ人

 

個人的には「十字架」という言葉で始まっている歌詞がすごく好きです。

十字架の見える窓で風が遊ぶ度プリーツを揺らすよ
誰も邪魔をしないで わたし今が全てだから
儚く綺麗な時 大人には解んないでしょう

全体として、大人にはきっと理解できないであろう一瞬一瞬目の前で起こっていることが全てである日々を経て、
些細なことでも傷つく心を持った少女が、やがてそれを受け入れられる女性へと成長していく様子が歌われているように感じます。

その歌い出しの「十字架」は、私からすると「囚われの身」を連想させ、邪魔されたくないという主人公の少女の思いと綺麗に重なるのです。

その他、

教室を抜け出して見上げた
空はどんな青よりも鮮やかで

という歌詞からは、
好きな人とか、信頼できる友達と一緒に少し悪いことをしてる自分がちょっぴり大きくなったように感じるところを「空はどんな青よりも鮮やか」という景色で表現しているように思えます。

こうして目まぐるしい感情の変化を経験する時期(棘の道)も、やがては終わりを迎えますし、
あれだけ一緒にいることが当たり前だった人とも、卒業や生活の変化であっという間に疎遠になってしまう。

今までとなりに居た
あなたから手を離せば最後
もう知らぬ人

というのはそういった人間関係の、ある意味では儚さを、
その一方で、

じゃあまた明日ねって言えること
それだけでほら全部 暖かいこと

その大切な時期に一緒に居れた人との思い出の貴重さをそっと教えてくれているように感じます。

この「美しい棘」を作詞作曲した松尾レミさんはインタビューで、

「“ああ、あの頃自分たちが見ていた景色は、とても美しかったんだな”って。でもそのぶん危うさもあって、意外と身近なところに生と死の境い目があるってことに気付いたり、裏切りとか汚い部分を知ったり。そういう痛みを棘のように感じていたんだけど、いまはその棘ですら美しいと思えるようになって……その頃の気持ちを忘れてしまう前に書いておかなくちゃって」

とコメント。

歌詞中にでてくる「今までとなりに居たあなた」の「あなた」については、

「“今までとなりに居たあなた”は私の中では女の子の友だち同士だと思って書きましたけど、10代の子たちは恋人同士って思うかもしれないし」

と語っています。

つまり、この曲に出てくる登場人物は自分に置き換えて考えることができるように、余白を残している。。。
聴き手の解釈で大きく意味が異なるのは、リスナーに受け取り方が委ねられているからなんですね。

それからもう一つ、
MVを見たら分かるのですが、作品の中で「少女」は、双子の姿となって登場します。
これは、「1人の中にある少女と女性の二面性を表現している。」のだとか。
(引用先: https://natalie.mu/music/news/225494)

棘(いばら)という人生の色々な試練に直面しながらも、いつの間にか大人の女性になっていく少女。
その少女と隣合わせで自分の中に生存している未来の姿であるもう一人の自分(女性)という意味で歌詞を聴いてみても、より一層色んな情景が浮かんで「美しい棘」を楽しめると思います。

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終わりに

Glim_Spanky_01_pic

(出典: https://www.instagram.com/glimspanky/?hl=ja)

いかがだったでしょうか。

年代を問わず多くの支持を集めているGLIM SPANKYの二人は、今年のフェスでも多くのファンを惹きつけること間違いなしでしょう。

私は、その聴く人の心を揺さぶる声に魅了され彼らの音楽を聴くようになりましたが、
今回紹介した「美しい棘」の他にも、映画『不能犯』の主題歌になっている「愚か者たち」など、
その歌詞のメッセージ性もGLIM SPANKYの魅力の1つ。

今年も才能あふれる二人に注目していきましょう。

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