宇多田ヒカル「PINK BLOOD」歌詞の意味や曲に込められた想いとは!?【『不滅のあなたへ』主題歌】
TVアニメ『不滅のあなたへ』の主題歌として起用されている、宇多田ヒカルさんの「PINK BLOOD(読み方: ピンク・ブラッド)」。
宇多田ヒカルさんがテレビアニメシリーズの主題歌を手掛けるのは初めてということでも注目を集めている一曲ですが、「ピンク」と「血」という不思議な言葉の組み合わせがタイトルになっているところもこの曲の気になる部分ではないでしょうか。
「死んでも再生できる」、そして「刺激を受けた物の姿へ変化することができるという」特殊な能力を持つ「フシ」が、出会う人々に生きる術を教えられ、人間を模して成長する姿を描いている『不滅のあなたへ』に華を添えるこちらの楽曲。
今回は、この宇多田ヒカル「PINK BLOOD」について、歌詞の意味や曲に込められた想いを考察してみたいと思います。
宇多田ヒカル「PINK BLOOD」歌詞
「PINK BLOOD」ー 宇多田ヒカル
Pink blood
Pink blood
Pink blood
Pink blood
誰にも見せなくても
キレイなものはキレイ
もう知ってるから
誰にも聞かなくても
キレイなものはキレイ
もう言ってるから
他人の表情も場の空気も上等な小説も
もう充分読んだわ
私の価値がわからないような
人に大事にされても無駄
自分のためにならないような
努力はやめた方がいいわ
誰にも見せなくても
キレイなものはキレイ
もう知ってるから
誰にも聞かなくても
キレイなものはキレイ
もう言ってるから傷つけられても
自分のせいにしちゃう癖
カッコ悪いからヤメ
あなたの部屋に歩きながら
床に何個も落ちる涙
自分の価値もわからないような
コドモのままじゃいられないわ
心の穴を埋める何か
失うことを恐れないわ
自分のことを癒せるのは
自分だけだと気づいたから
サイコロ振って出た数進め
終わりの見えない道だって
後悔なんて着こなすだけ
思い出に変わるその日まで
サイコロ振って一回休め
周りは気にしないでOK
王座になんて座ってらんねえ
自分で選んだ椅子じゃなきゃダメ
タイトル「PINK BLOOD」の意味とは!?
//『不滅のあなたへ』のあらすじ//
何者かによって、世界に投げ入れられた一つの「球」。それは、ありとあらゆるものの姿を写し取って変化できる能力を持っていました。最初は石に、続いてコケになった「それ」は、次に死んだレッシオオオカミの姿に変化。初めて意識を得ます。
やがてオオカミとなった「それ」は、一人の少年と出会うことに。オオカミの飼い主だった少年は「それ」をジョアンと呼びます。誰もいなくなった村で一人暮らしをしていた少年は、大人たちが向かった「楽園」を探して旅立ちますが、途中で怪我をして、結局は村に戻ることになってしまうのでした。その怪我が悪化して少年は死んでしまい、「それ」は少年の姿を得ることに。村を出た「それ」は、長い道のりを経て、人里にたどり着きます。
そうして、後に人々から「フシ」と呼ばれることになる不思議な存在の、長い長い物語が始まるのでした──。
こちらのあらすじを見ると分かるように、この『不滅のあなたへ』のストーリーの主人公的な存在は、元々「球」の形をしており、周囲の刺激によって姿を変えるという特殊な能力を備えた物体です。また、物語のタイトルにもあるように、傷などの怪我を自然に素早く治癒できるという事実上「不死、不滅」の性質を有しています。
石に始まり、次第に動物や人間の姿へと形を変えながら、新たな刺激を求め進み続けるこの「フシ」。
宇多田ヒカルさんの「PINK BLOOD」は、この物語に言葉では言い表せないような、切なさや、本来の生や死の意味とはなんなのか?といった問を投げかけているようにも感じる一曲となっています。
「PINK BLOOD」の意味については、宇多田さん自身がどのような意味合いを込めているのか公表されていませんので、推測するしかありませんが、この「フシ」という物体の特徴に照らすと、「フシ」の体内に流れているのは、真っ赤な血ではなく、少し薄まった「ピンク色」の血。という意味合いなのかもしれません。
少しネタバレも含みますが、「フシ」が変化する動物や物はすでに亡くなりこの世には存在してない物。そして、どんな傷を受けてもすぐに再生するという不死の性質から、ピンク色の血という概念が生まれてきたのではないかなと想像します。
終わりに
今回は、宇多田ヒカルさんがアニメ『不滅のあなたへ』という物語のために書き下ろした「PINK BLOOD」という曲についてご紹介してみました。
この『不滅のあなたへ』は、不死の物体である主人公「フシ」の周辺に起きる物語と、その周りの出来事に反響して姿かたちを変えながら進化を続ける「フシ」が描かれた作品になっているのですが、フシが不滅であるからこそ、その周りで命を落としていく動物や人の「死」がより際立ち、生きるとは何か、そして死とはどういった意味があるのかというのを考えさせられる気がします。
歌詞の中には、
心の穴を埋める何か
失うことを恐れないわ
自分のことを癒せるのは
自分だけだと気付いたから
と出てきますが、「フシ」を通して考えると、今までなんの感情もなかったのが、次第に自我が芽生えることによって人間の成長過程を経験していく様にも感じ取れますし、
視聴者側に立ってみると、自分のこれまでの経験などから感じた「何かにすがろうとする心を振り払おうとする」という心の弱い部分を振り払おうとする後押しをしてくれているようにも感じ取れる気がします。
特殊な能力を持つ主人公を描いているアニメの主題歌だからこそ、よりミステリアスな雰囲気が醸し出されているこの「PINK BLOOD」。
アニメの内容と歌詞を照らし合わせながら楽しみたい素敵な一曲ではないでしょうか。
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